弊社では、空港・地下鉄・高速鉄道などの交通インフラに関する工事の際に必要となる薬液注入改工事を主に行っております。民間企業だけでなく、官公庁からの依頼もあり、幅広く手掛けています。

薬液注入工事

Chemical injection work

薬液注入工事|作業風景01

薬液注入工事は、建築物や構造物の基礎地盤を強化し、安定性を高めるために行われる工法です。この工法では、凝固特性を持つ薬液を地下に注入し、地盤の特性を変化させて強化します。主に、軟弱な地盤や沈下しやすい地域での使用が一般的で、地盤の崩壊や湧水の防止に効果的です。

薬液注入には、グラウトミキサー、グラウトポンプ、流量計、ボーリングマシンなどの機器が使用されます。この工法は、適度な固さを持つため掘削作業を妨げず、小型の機器で狭い場所でも施工可能です。また、どの方向にも施工ができ、振動や騒音が少ないことも特徴です。さらに、ほとんどの土質に適応し、少ない廃棄物で環境に優しい点も利点とされています。

その多様な適用性と効率的な施工方法により、建築や土木分野における地盤改良の重要な手段として広く採用されています。工法や材料の種類が豊富で、地盤の特性や条件に応じた最適な解決策を提供することが可能です。

浸透固化処理工法

浸透固化処理工法は、薬液注入工事の一つで、特に緩い砂地盤の液状化対策に適用される地盤改良工法です。この工法は、二重管ダブルパッカー工法に改良を加えたもので、特殊シリカを含む恒久薬液を地盤内に低圧力で浸透注入することが特徴です。使用される薬液は、従来の水ガラスから劣化成分を除去したもので、長期間にわたる効果が期待できます。

この工法により、液状化が予想される地盤を低強度で固化し、液状化を防止します。低圧力で薬液を注入することにより、土粒子の骨格を壊さずに間隙水を薬液に置き換えることが可能です。この方法により、ピンポイントで必要な箇所のみを改良することができ、周辺構造物に影響を与えるリスクが低減されます。

また、この工法は小型の施工機械と細い注入管を使用するため、施設が稼働中でも施工が可能であり、その経済性は他の多くの工法に比べて高いです。浸透固化処理工法は、液状化リスクを効果的に管理して長期的な安定性を提供する地盤改良のための先進的な技術です。

特徴

1. 液状化対策と地盤の強度向上

浸透性の高い恒久薬液を注入することで、既設構造物直下の液状化対策が可能になります。この方法では、地盤の粒子間に固結した薬液が粘着力を付加し、せん断強度を高め、地震時の土圧を減少させます。

2. 施工性の向上

小型のボーリングマシンを使用し、小さな作業面積での施工が可能です。これにより、既存設備の稼働を停止する必要がありません。斜めや曲線ボーリング施工も可能で、限られた場所から任意の位置を削孔できます。

3. 構造物への影響の最小化

低圧での注入により、構造物への影響を最小限に抑え、隣接する建物やインフラへの負担を軽減します。また、施設の運用を中断させずに施工が可能であり、都市部や活動中の施設での利用に特に適しています。

4. 経済性と効率性

注入径の拡大により、従来の注入工法に比べてコストダウンが実現できます。大型の改良体を形成することで、削孔本数を減らし、安価な注入材を使用することが可能です。

5. 恒久的な効果

浸透性の高い恒久薬液の使用により、液状化抵抗強度が確実に増大し、長期的な劣化はありません。また、施設や地盤への影響がないため、環境への影響も最小限に抑えられます。

その他の薬液注入工法

二重管ストレーナー工法(単相式)

二重管ストレーナー工法(単相式)

地盤改良や補強を目的とした薬液注入工事の一つです。この工法は、特に軟弱な地盤や液状化のリスクがある地盤の改良に効果的で、その主な特徴は、一種類の薬液(単相)を使用する点にあります。

二重管ストレーナー工法(複相式)

二重管ストレーナー工法(複相式)

特に地盤改良や補強を目的とした工法です。この工法は、軟弱な地盤や液状化しやすい地盤の改良に適しており、重管ストレーナー工法(単相式)とは異なり、複数の相を持つ薬液を使用する点が特徴です。

二重管ダブルパッカー工法

二重管ダブルパッカー工法

地盤改良や安定化を目的とした薬液注入工事の一つです。この工法は、特に不均一な地盤や複雑な地層条件に適しており、精密な薬液注入が必要な場合に用いられます。

薬液注入工事の流れ

Flow

「浸透固化処理工法」を一例に、薬液注入工事の流れをご紹介します。

「浸透固化処理工法」を一例に、
薬液注入工事の流れをご紹介します。

STEP

01

削孔工程

小型ロータリーパーカッション方式のボーリングマシンを使用して、ケーシング削孔を行います。この小型マシンの使用は、限られた作業スペースでも効率的な穴あけを可能にし、都市部や狭い場所での施工に適しています。

STEP

02

注入外管の建込み

ケーシング内に注入外管を継ぎ足しながら設置し、その後ケーシングを引き抜きます。注入外管には、改良径に応じて配置された注入口(特殊ストレーナー)があり、上下には特殊スリーブパッカーが設けられています。この工程は地盤改良エリアの精密な管理を可能にし、効果的な薬液注入を促進します。

STEP

03

スリーブパッカーによる注入

ダブルパッカー式の注入装置を使用し、特殊スリーブパッカーにセメントベントナイトを注入します。この工程は、注入材の逸走を防ぎ、注入箇所への精密な薬液導入を確実にします。

STEP

04

浸透固化材の注入

入装置を所定の注入口にセットし、注入材を注入します。この際、圧力、速度、濃度の管理は集中管理装置(CCS)を用いてコンピュータ制御されます。この高度な制御システムにより、注入材の配分や流れを最適化し、地盤改良の品質と効率を高めます。

STEP

05

施工終了

すべての注入作業が完了した後、施工終了の工程に移ります。この段階では、使用した機材の撤去、注入した地盤の最終チェック、及び必要に応じた周辺環境の復旧作業が行われます。

薬液注入工事の必要性

necessity

建物の安定性と耐震性の向上

薬液注入工事は、建物や構造物の基礎を安定させ、地震などの外部の力に対する耐性を向上させます。強度の不足や地盤の不均一性によって引き起こされる建物の沈降や傾きを防ぎ、建物の寿命を延ばします。

地下施設の安定性確保

地下駐車場、地下トンネル、地下貯蔵施設など、地下に建設される施設は、地盤の安定性に大きく依存します。薬液注入工事によって、これらの地下施設の安全性を確保できます。

土地利用の最適化

薬液注入工事は、軟弱な土壌や不安定な地盤を改良するため、土地の利用を最適化するのに役立ちます。これにより、土地を有効に活用し、建設プロジェクトの設計に制約を加えないようにします。

土地の浸透性と排水性の改善

薬液注入工事によって、地下水位の管理や豪雨時の浸透能力向上が可能です。これにより、洪水のリスクを軽減し、土地の浸水を防ぎます。

環境への影響の最小化

土地の不適切な利用や環境への悪影響を最小化するのに役立ちます。適切な薬液注入工事を行うことで、土地の安定性を確保しながら、自然環境を保護できます。

財産価値の保護

土地や建物の資産価値を保護するために、薬液注入工事が重要です。地盤の問題を放置すると、建物の損傷や価値の低下が発生し、修復に高額な費用がかかる可能性があります。

地盤改良工事

Ground improvement work

地盤改良工事は、建築物や構造物を支持する地盤の性質を変え、強化することを目的とした工事です。地盤の不安定性や軟弱な性質を改善することによって、建築物の安全性や耐久性を確保します。地盤改良工事は、さまざまな方法で行われます。